インプラント治療の長い経験と口腔外科専門医による安全確実な手術
Just Health 2002年11月号
あごに痛みや不快感をおこす「顎関節症」。20代を中心とした女性に多く発症し、また低年齢化も進んできています。日常での対処法をよく知って、顎関節症にならない生活を心がけましょう。
原因としては、微妙な咬合の不調和、例えば悪い歯並びや詰めものの異常などから直接関節の障害を引きおこしたり、咀嚼筋の微妙な制御を狂わせたりすることがあります。また、若い女性や、最近の傾向として小・中学生にまで発症が低年齢化していることを考えると、精神的な要因は重要です。
II型. 咀嚼筋の障害によるもの
II型. 顎関節の慢性外傷によるもの
III型. 関節円板の異常によるもの
(典型的な症状。穴があく、癒着、前方に移動、腫れて厚くなる等)
IV型. 顎関節部の変形によるもの
V型. 心因性のストレスによるもの
あごの関節は、下顎骨の滑らかな滑走運動とあごの骨についている多くの筋肉(咀嚼筋)の絶妙な制御によって、上あごと下あごの歯の噛み合せをコントロールしている。また、あごの運動には複雑な神経の働きも関与しており、噛み合せによるストレスに加え、からだと精神的なストレスの影響を受けやすい構造となっている。
この病気は、あごの関節を中心にあごを動かす筋肉にも波及する慢性の病気で、多彩な症状を現す症候群といわれています。
症状としては、あごの関節部(耳の前)の痛み、あごを動かしたときの雑音、そして口が開きづらくなるという3つの典型的な症状があげられます。「痛み」はあくびをして大きく口を開いたとき、あるいは朝起きたときなどに突然おこることもあります。痛みの程度はさまざまですが、食べ物を噛んだときに強く痛むことが多々あります。一方、雑音としては、関節を動かしたときカクカク、ゴリゴリ、ジャリジャリなどさまざまな音がします。このような症状はときどき現れることもありますが、比較的長い経過の中で徐々に悪化し、突如強い痛みがでる例も少なくありません。また、口が開きづらくなる(開口障害)という症状もこの病気によくみられる症状です。これらのいわば3大症状は単独に現れることも多い反面、合併することもよくあります。
他の症状では、これらのほかに肩こりや偏頭痛、ときに手足のしびれなど、全身的な症状をおこすこともあります。
治療法は、保存的療法と直接関節の手術をする外科的療法に別れます。
保存的療法には、抗炎症鎮痛薬や筋弛緩薬を中心とした薬物療法がまずあげられ、心因性でおこる顎関節症では抗不安薬や抗神経薬なども使われます。薬物療法と並んでしばしば行われる治療法は、マウスピースのようなものを夜間に歯列に装着するスプリント療法です。この治療法の目的は、夜間不正な噛み合わせからくるストレスから開放し、さらに下あごを患者さんにふさわしい咬合(こうごう)の位置に誘導することです。
保存的な療法だけでは改善の見られない場合には、外科的療法が行われますが、最近では直接関節腔を内視鏡で観察しながら手術する顎関節鏡視下手術が行われています。
ただし、顎関節症は特別な理由がない限り自己管理によって十分避けられる病気です。日ごろから、予防を心がけた生活を送るようにしましょう。
1.両側のあごでまんべんなく噛むようにする
あごは、噛む為にあることを自覚しよう。片側のあごだけで物を噛むことを避け、両側でまんべんなく噛むよう心がけよう。
2.軟らかい食べ物ばかりでなく、硬いものも食べる
軟らかい食べ物が氾濫しているが、普段からやや硬いものも意識して食べる。
3.睡眠時は、上を向いて寝る
同じ側のあごをいつも下にして寝るくせがあると、長い間にあごが変形したり、顎関節に障害が出るため気をつけよう。
4.対人関係やストレスや過労を避ける
対人関係のストレスや過労は、あごの複雑な神経系に過度の緊張を与える。緩和するには適度にスポーツやアウトドアを楽しもう。
5.日ごろから歯の治療をきちんとしておく
むし歯があると、そこを避けて片側で噛むようになる。信用のおける歯科医院で正しい噛み合せ(咬合)になるよう治療しておく。
【2002年 11月号 掲載】